天皇の生前退位について、広く国民やマスメディアなどで議論されています。
歴史的に見た場合、
天皇と上皇といった形で言い分けられてきた歴史もあります。
日本史上、初めて上皇の文字が見られるのは697年の飛鳥時代まで遡ります。
持統天皇が文武天皇に天皇を譲位して、
上皇と称したのが最初であると記録されています。
それ以降も譲位という形で生前に行われた歴史も多く見られます。
奈良・平安・鎌倉から江戸時代と各時代においては、
皇族にはそういった習慣も残っていました。
鳥羽天皇・白河天皇・後鳥羽天皇・後白河天皇などといった天皇は、
上皇としても有名ですよね。
しかも各時代の主役として、
日本史の教科書にも主要な歴史的人物として登場しています。
ではこの上皇と天皇との違いってなんなのでしょう?
◆上皇と天皇との違い
この上皇と天皇の具体的な違いについては、
まず上皇は天皇の位を後継者に譲位することで、その様に呼ばれた者を言います。
つまり。。。
天皇の位にあった者が様々な事情により子供・兄弟・親戚などの後継者に、
その地位を譲ることで、人々から上皇と呼ばれる形になります。
そして皇位継承した天皇は、
正式な今上天皇(現に在位する天皇を示す呼称)として、
日本史上の政治や政治上の主要な行事などを行ったりしていました。
ですから上皇になることは、政治から身を引いた状態にあることで、
隠居の身にある状態や後見する立場の状態を意味することとなります。
ただ実際に隠居して政治の表舞台から遠ざかったかどうかというと、
そうとも限りませんでした。
自分の子供を天皇にするために、若くして上皇となり、
譲位した後においても後見と称し陰に政治の実権を握るということもありました。
それが院政を敷き、権力の二重構造にあった時代も存在しています。
天皇と上皇の違いとは、上皇とは位を譲った後の天皇が付く地位なのです。
このような違いが見られますが法的な意味においては身分の違いは見られず、
共に皇族を構成する主要な人物であったことは間違いありません。
親子での関係においては当然親のほうが力があります。
あれこれ口出ししてくるのは一般家庭においてもそうだといえます。
そこに政治が絡んできた場合には、上皇が実際の権力を握るというのも納得です。
また血族会社において社長が引退して会長になるといった場合においても、
会長のほうが強いというケースも多々ありますよね。
◆現代においてはどうなの?
では現代においてはどうなのでしょう?
明治時代以降、皇室典範において譲位の規定と上皇という規定がなくなりました。
ですから生前に譲位することもなくなり上皇というのもなくなったのです。
ですが今回、今上天皇が生前に譲位なされる場合、
譲位後の名称がないことになり「上皇では?」などと報道されたのです。