・サンクコストの意味ってなに?
サンクコスト(埋没費用)とは既につぎ込んだ資金や労力のうち、
二度と取り返せないものを意味します。
・サンクコストの効果とはなに?
これは何も過去の過ち(すでに回収不能なもの)だけを指すものではありません。
すでに無くしたものに執着することで、
未来の利益を失う効果さえある、極めて深刻な要素です。
これらを具体的に見ていきます。
◆未来の利益を失う効果とは、どういうことか?
たとえば、あなたが高いお金を払って新作のゲームや映画を楽しもうとします。
しかし実際には、あなたの期待に反して全く面白くなかったとします。
ここですでに払った費用はサンクコストです。
またそれらに費やした時間も同じくサンクコストになります。
ここで「無駄になるから」と躍起になって観賞を続ければ、
更に費やすであろう未来の時間まで無駄にすることになるのです。
これが未来の利益を失う効果です。
しかし、上記の考え方にはおかしな点があります。
あなたは高いお金を払ったことが「無駄になるから」といって鑑賞を続けました。
まるで鑑賞すれば、すでに払ったお金が無駄にならないという思考(執着)です。
ですがサンクコストとは回収不可能なのです。
すでに無駄になっているので、取り戻すとかではないんです。
だから、すでに無くしたものに執着することは、
未来の利益を失う効果さえある、極めて深刻な要素なのです。
・ではどうすればいいのか?
全く面白くなかった時点で中断するか手放せばよいのです。
それまでの費やしたお金や時間は戻りません。
ですがこれからの時間、あなたの限りある人生を有効に使えるのです。
◆サンクコストの意味と効果を語る上でのエピソード
こうした未来の利益を失う効果は、
資金の規模が大きくなるほど致命的なダメージを与えてしまいます。
行動経済学ではこれをコンコルド効果と呼びます。
それは机上の空論ではありません。
この言葉の元となったのは有名な超音速旅客機のによる失敗例です。
膨大な開発費をかけて華々しくデビューしたコンコルドという名の旅客機。
しかし開始から廃止まで採算ラインに乗ることはありませんでした。
つまり運用するほど赤字を垂れ流していたのです。
主力製品ということもあり長い間廃止に踏み切れなかったのです。
結果的に負債は無尽蔵に膨れ上がり、
遂に飛行機事故という最悪の結果をもって終焉を迎えました。
サンクコストの意味と効果を語る上でこれ以上のエピソードはないでしょう。
◆実生活において活用するなら
サンクコストが意味する問題は個人にも深く関わってきます。
実生活において活用するなら損切りという態度を心がけることです。
これはあえて小さな損失を出すことにより、
将来において予想される巨大な損害を防ぐ考え方になります。
投資の世界では一般的なものですが身近な事柄にこそ用いるべきです。
人間関係などは特にサンクコストが発生するものです。
今まで費やしてきた時間を惜しむあまり、
得にならない付き合いを続ける人は珍しくありません。
時には毅然と身辺を整理して反省しても後悔はしない生き方こそが賢明です。