まずはじめに、
エンテロウイルス(EV)というのは、
エンテロウイルスという単体の名称ではありません。
特に子供に多く見られる夏カゼの代名詞とされる、
・手足口病
・ヘルパンギーナ
・急性胃腸炎
などに加え、
・ギラン・バレー症候群
・ポリオ様相麻痺
などを引き起こす原因となりうる100種類以上のウイルスの総称なのです。
ですからエンテロウイルスの症状といってもいろいろな症状があるのです。
例えば、夏風邪である「手足口病」です。
この病気はエンテロウイルス属に属するコクサッキーウイルスが原因です。
そうかと思えば、夏風邪の症状として
手足口病ではなく嘔吐や下痢を伴う胃腸炎だったりする場合もあります。
◆不安におちいる前に
よくニュースなどでも見かけます。
「エンテロウイルスが原因か?!」という見出しに驚かされます。
原因不明の麻痺が突然流行して、
エンテロウイルスが関係している可能性があるとか報道されます。
しかし、報道の時点ではあくまでも「可能性」であり、
しかも100種類あるなかの一つのエンテロウイルスである可能性です。
だから、エンテロウイルスによる夏風邪と結びつけて不安になる事はないのです。
また、エンテロウイルスに関して過剰に反応してしまうのは、
今の時点で有効であるワクチンが存在しないということもあります。
そのため「子供が麻痺」「ワクチンがない」という文字を見ると、
すごく不安になってしまうのです。
風邪だって特効薬やワクチンはありませんからね。
◆エンテロウイルスの症状について
・手足口病
手足口病は、主にコクサッキーウイルスにより発症するケースが多く、
感染から3日から5日程度で手の平や足の裏、口内、唇周辺に、
2~3mm程度の水疱性の発疹が発症するウイルス性疾患です。
症状としては、水疱性の発疹に加え37~38℃程度の熱を発症します。
その後、1日から3日程度で熱は下がります。
エンテロウイルスは、3歳以下の乳幼児の無菌性髄膜炎や髄膜脳炎等の、
中枢神経合併症の発症リスクが高くするので注意する必要があります。
・ヘルパンギーナ
ヘルパンギーナの症状としては、
一般的に2日~5日程度の潜伏期間を経て38度程度の発熱を引き起こします。
ですが、39度から40度近い高熱を発症するケースもあり、
急激な発熱に伴う熱性痙攣や倦怠感、関節の痛みを引き起こすケースもあります。
又、口腔内や唇周辺に水疱性の発疹が発症し、
水疱性の発疹が破れた潰瘍や喉と口蓋垂に炎症などの症状が発症します。
・急性胃腸炎
急性胃腸炎は、
エンテロウイルスにより嘔吐や腹痛などの胃腸症状が引き起こされ、
軟便や水様便の下痢症状が2日から3日程度続きます。
こういったエンテロウイルスによる症状は、ほんとに様々です。
自己判断ではなく早期に医療機関で適切な治療を受ける必要があります。
そうすることで不安も和らぎます。
◆予防について
これらのエンテロウイルスが原因による病気に対しては有効な薬がありません。
ですから予防としても感染を防ぐためには、
風邪の対策と同様に手洗いとマスクということになります。