たけのこと言えば、春の味覚の一つで、
毎年これを味わえるのを楽しみにされている方も多いと思います。
市販されている水煮は簡単ですが、
生のものはあくを取らなければならないから、
ちょっと面倒というのもよく聞く言葉です。
そもそも、このあくはなぜ取らなければならないのでしょうか?
たけのこのあくって害があるんだろうか?
食べたらどうなるの?
◆たけのこのあくって害があるんだろうか?
たけのこのあくなんですが、
摂取してすぐさま害を引き起こしてしまうとは言えません。
たけのこのあくの成分には2種類あります。
・ホモゲンチジン酸
・シュウ酸
これらは、どちらも
口に入れてすぐに危険な害を及ぼしません。
これら2つは一体どういう成分なんでしょう?
◆たけのこのあくの成分は?
たけのこのあくの成分は、
ホモゲンチジン酸とシュウ酸という物質が複合したものです。
・ホモゲンチジン酸
お店で見かけるたけのこの水煮には、白い粉のようなものが付いています。
これはチロシンというアミノ酸の一種です。
このチロシンが酵素によって変化したものがホモゲンチジン酸です。
チロシン自体はむしろ脳の働きを高めると言われ害になるものではありません。
ホモゲンチジン酸も、漢方の半夏(はんげ)に含まれる物質で
鎮咳、去痰、鎮吐などの作用が知られています。
ですが、えぐみが強く薬にもなるものですから摂り過ぎは避けたいものです。
(ちなみに半夏とは、
サトイモ科の多年生植物である「カラスビシャク」の塊茎)
・シュウ酸
また、シュウ酸はホウレンソウに含まれるのが良く知られています。
やはり、えぐみのある物質で、
大量に摂取すれば鉄分の吸収を妨げ結石の生成を招くことがあります。
このように、たけのこのあくの成分である、
「ホモゲンチジン酸」「シュウ酸」は、
どちらも口に入れてすぐに危険な害を及ぼすとは言えないのです。
◆たけのこに含まれる他の成分についての安全性
このほか、たけのこには青酸配糖体という植物毒が微量ながら含まれています。
腸内の細菌や酵素の働きで加水分解が進み、青酸が生じると害になります。
たけのこには神経伝達物質であるアセチルコリンが含まれ、
これがアレルギー様の症状を引き起こすことがあるのが知られています。
たけのこを食べたときに、
口の中やのどのイガイガ感が強かったり何らかの違和感を感じたら、
アレルギーが疑われる時があります。
・じゃあ、やはりたけのこは食べないほうがいいのか?
わずかとはいえ青酸配糖体やアセチルコリンなどの成分は、
本来人の身体に入れるべきものではありません。
ですから、なるべく体内に入らないのが望ましいのはもちろんです。
ですが、たけのこに含まれている青酸配糖体やアセチルコリンも、
あく抜きにあたる弱アルカリ性で煮ることによって取り去ることができます。
ですので、是非あく抜きしておいしく安全にいただきたいものです。